013 換気のススメ?

013 換気のススメ?

013 換気のススメ?

今回のかわら版は、前回に引き続き「シックハウス症候群」のお話です。
原因の側からシックハウスを探った前回に対し、今回は入居者の皆さんに知っておいていただきたい対処法です。
(参考文献:「シックハウスがわかる」学芸出版社刊 )

 

シックハウス症候群への対処法としては、次の二段階があると考えられています。
@室内での有害物質の発生をできるだけ抑える。
A室内に放散した有害物質をできるだけ低減する。

 

@に関しては、これまでの建設過程で細心の注意を払ってきました。この点に関しては、信用していただくしかありません。
ただ、前回もお話した通り、化学物質と体調の因果関係には未だに不明な点が多いのも事実。
次の段階であるAがどうしても必要になります。

こまめな換気が有効

では、「有害物質を低減」とは具体的になにを指すのか。
平たく言えば、それは「換気」です。
要は「窓を開けて空気の入れ換えをしましょう」ということです。

 

前回のかわら版で、天然の木材からもホルムアルデヒトが発生するというお話をしました。
それでは、なぜ昔はシックハウス症候群が問題にならなかったのか。その鍵は「換気」にあります。
つまり、昔の家屋は現在のものほど気密性が高くなく、意識するしないに関わらず、自然と換気ができていました。
そのために有害な化学物質が発生したとしても、空気中の濃度があまり上がらなかったと考えられます。
それに対し、現在の建物はなまじ気密性が高いために、意識して換気しないと空気の入れ換えができません。
シックハウス症候群というと、どうしても「化学物質」に注目が集まりますが、実は「換気」の面から考えることも非常に重要なことなのです。

 

間取り図をご覧いただければお分かりのように、シェーンバウムの部屋の大部分は、二面採光、つまり窓が二つある作りになっています。
例え短い時間でも、二面の窓を開けておけば充分な換気ができます。定期的な空気の入れ換えをぜひオススメします。

花粉症の方には

「3月に窓を開けるなんてできるわけないじゃない!」
と、花粉症の方には怒られるかもしれません(私の妻も重度の花粉症です)。
そうした方には、各部屋についている換気口を活用していただきたいと思います。
この「給気レジスター」と呼ばれる換気口は、普段は閉まった状態になっていますが、真ん中部分を押すとそこが浮き上がり、空気を取り込める仕掛けになっています。
「給気レジスター」を開けただけでは充分な換気は難しいので、換気扇との併用が効果的です。
花粉の量も、窓を大きく開けるよりは抑えられるはずです。

 

 

実はこの換気口は、2003年の建築基準法改正で設置を義務づけられたものです。
しかし、シェーンバウムのような手動式のものは、入居者の手でその都度開けないとその役目を果たせません。
2003年以降にできたマンションには標準で装備されているものではありますが、その使い方が入居者の皆さんに浸透しているとは言いがたい状況です。
入居者の皆さんに、この「給気レジスター」の存在を知っていただき、活用していただきたい。
今回かわら版でシックハウスを取り上げた大きな理由の一つです。

外断熱では換気しても熱が逃げない!

さて、一口に「換気」と言っても、季節によってその意味合いが少し違ってくると思います。
春(※花粉症以外の方にとって)や秋は窓を開けておくだけでも気持ちがいいものですが、これが夏や冬になると、「換気」とはせっかくエアコンで快適な温度になった部屋の空気をみすみす逃がしてしまう行為とも言えます。
特に私なんかは根が貧乏性なので、「もったいないなぁ」と思ってしまいますが…。

 

しかしこれは、今までの従来工法である“内断熱”でのお話です。
シェーンバウムのような“外断熱”の建物では、「部屋の温度=空気の温度」ではなく、「部屋の温度=躯体の温度」です。
空気を入れ換えることで部屋の温度は変わりますが、空気の温度だけを調整している場合と違い、ゼロに戻るというわけではありません。
エアコンを使う場合も内断熱の建物よりもはるかに効率的なので、「もったいないなぁ」と思う必要はなさそうです。

 

さあ、春や秋はもちろん、夏は朝晩の涼しい外気を、冬は昼間の暖かい外気を取り込んでください。
新鮮な空気があなたを「シックハウス症候群」から守ってくれるはずです。

 

(2007/02/08 文責:佐野)