012 シックハウス症候群を考える

012 シックハウス症候群を考える

012 シックハウス症候群を考える

「シックハウス症候群」という言葉をご存知でしょうか。

 

非常に簡単に言ってしまうと、部屋の空気中にあるホルムアルデヒトなどの科学物質が、呼吸することで人体に入り、体の変調を引き起こすという病気です。
2003年の建築基準法改正の影響か、最近はあまりマスコミに登場しなくなった言葉ですが、今現在もこの病気に苦しめられている方が日本中に大勢いらっしゃいます。

 

始めに申し上げておきますが、もちろんシェーンバウムは建築基準法をきちんとクリアしています。
それどころか、人一倍この問題に関して注意を払ってきました。
しかし、人一倍注意を払ってきたからこそ、入居者の皆さんにお伝えしたいことがあります。
かわら版では今回から2回に渡り、誤解を恐れず、真正面から「シックハウス症候群」を考えてみます。

 

とは言え、素人である私がここで専門用語を使って、分かった風なことを書いても意味がありません。
参考文献を読んで、私が感じたこと、そしてぜひ入居者の皆さんに知っておいていただきたいことを
なるべく簡潔に列挙していきたいと思います。
(参考文献:「シックハウスがわかる」学芸出版社刊 )


その@ 誰にも分からない「シックハウス」!

まずビックリしたのが、「シックハウス」という言葉に明確な定義がないということです。
一般的には「シックハウス=ホルムアルデヒト」と思われていますが(かくいう私もそうでした)、ホルムアルデヒトは問題視されている物質のほんの一種類に過ぎません。
その他の化学物質がどう人体に影響するのか。
人の個体差もあり、専門家にもハッキリとした結論を出せる人はいません。
また、広義にはカビやダニなどの化学物質ではないものも人体に悪影響を与えているわけで、「シックハウス」を明確に定義するのは至難の業と言えます。
ちなみに「シックハウス」とは和製英語で(これにもビックリです)、英語では「シックビル症候群」(Sick building syndorome)というそうです。

そのA 規制されたのはたったの一種類だけ!

前述の通り、シックハウス症候群を防ぐべく2003年に建築基準法改正が行われました。
ところが、この時規制されたのはホルムアルデヒトの一種類だけ。
その他の化学物質にはなにも言及されていません(建材ではないシロアリ駆除剤には規制があります)。
意地の悪い見方をすれば、「ホルムアルデヒト」を悪役にしたてあげることで、他の要素への関心をそらしたとも言えそうです。
国土交通省は「これでシックハウス問題はおしまい」という態度をとり、心無い建設会社やデベロッパーは「ウチは基準を守っているから絶対大丈夫」と言います。
しかし、ホルムアルデヒト以外の化学物質の影響はまだはっきりと分かっていません。
いたずらに恐怖心を抱く必要はもちろんありませんが、安心しきって注意を払わないのは、やはり危険と言えます。

 

余談ですが…、
戸建にしろマンションにしろ、新築を買う際には売主(デベロッパー)に「シックハウス対策はどうなってますか?」と聞いてみてください。
安易に「うちは絶対大丈夫です!」と答える業者は逆に危ないと私は考えます。
上の二点から考えて、そのセリフは売主の無知、或いは嘘を証明するものだからです。
危険性を認識した上でそれを指摘してくれる売主こそ、本当に住む人間の立場に立ってくれている企業ではないでしょうか。

そのB 天然木材からもホルムアルデヒトが発生する!

今回一番ビックリしたのがコレ!
「シックハウス」というと、なにかと人工的な建材を槍玉にあげ、天然木材賛歌を歌い上げる人がいます。
その中には建築の専門家も決して少なくありません。
確かに化学物質という言葉から、我々は接着剤などの人工物を想像しますし、それも間違いではないのですが、驚いたことに天然の木材にもホルムアルデヒトは含まれているのです。
ですから、天然素材しか使っていないから安心ということはありません。
人工の物も天然の物も等しく土俵に上げて検討する必要があります。

そのC 家具は規制されていない!

建築基準法改正により、建材については法的な規制が始まりました。
しかし建材以外の家具に関しては、自主規制に頼るしかないのが現状です。
特に引越しの際には新しい家具を買う機会も多いと思いますが、価格やデザインだけでなく、こうした点もご検討いただければ、より快適な新生活を送っていただけると思います。

 

以上の4点から、今回はシックハウスを「原因」の側から考えてみました。
次回のかわら版では、その「対処法」に迫ってみることにします。

 

(2007/01/31 文責:佐野)