008 結露対策の決め手とは?

008 結露対策の決め手とは?

008 結露対策の決め手とは?

いよいよ今回は、外断熱に結露ができにくい秘密に迫ります。

 

前回、住宅にまつわる結露には「窓」にできるものと「壁」にできるものがあるというお話をしました。
内断熱のマンションでもペアガラスを使えば、窓の結露はある程度抑えられるのも事実です。
(より深刻なのは見えない壁の中の結露であるのも皆さんはご存知ですよね)
まずは、このペアガラスからご説明しましょう。

 

 

<図4>をご覧ください。
ペアガラスにも色々な種類がありますが、二枚のガラスの間に乾燥した空気層を設けたものが一般的です。
前回の例にそってご説明すると、
@冬の外気の冷たさが外側の窓ガラスに伝わりガラス自体が冷えます。
  (一方、断熱材に守られた部屋の中は温かい空気になっています。)
Aガラスにはさまれている空気がクッションとなって、二枚目(=内側)のガラスに冷気が伝わりません。
  また、二枚のガラスには乾燥した空気が密閉されているため、外側のガラスの内側に結露がつくことはありません。

 

二枚のガラスの間に設けられた空気層が、言ってみれば“断熱材”の役目の果たします。
ペアガラスに色々な種類があると書きましたが、その種類とはイコールこの空気層の種類と言っても良いと思います。
ただの乾燥させた空気を入れたものから、果ては真空(当然、熱も音も通しません)まで、様々なランクのものが用意されています。

 

シェーンバウムでは数あるペアグラスの中から「Low-Eペアガラス」と呼ばれるものを使用。
これは二枚のガラスの間(正確には外側のガラスの裏)に特殊な金属膜をコーティングしたもので、断熱性能を高めるとともに、窓の外から差し込む赤外線や紫外線を大幅にカットします。

 

結露だけでなく、夏の日差しによる部屋の温度上昇も防ぐ、それが「Low-Eペアガラス」です。

サッシは盲点になりがち

さらに、ペアガラスを支えるサッシにも断熱性の高い樹脂サッシを使用しています。
せっかくのペアグラスでも、断熱性が低いアルミサッシなどでは、ガラスに結露がないかわりに周りのサッシに結露がビッシリなんてことも…。
これでは、ペアガラスの意味がありません。

 

余談ですが、「外断熱」を謳うマンションの中でも「単版ガラス&アルミサッシ」を採用しているところもあると聞いています。
「Low-Eペアガラス&樹脂サッシ」と「単版ガラス&アルミサッシ」の価格の差を考えれば(前者の値段は後者の三倍とも四倍とも言われています)、マンションを建てる側としてはその選択も全く分からないわけではありません。
しかし、壁は大丈夫でも窓は結露でビッシリでは、せっかくの外断熱の良さを殺してしまうことになると思います。
また、外断熱のメリットである「静かさ」を生かすにも、「Low-Eペアガラス&樹脂サッシ」が大いに役立ちます。
「外断熱」と「Low-Eペアガラス&樹脂サッシ」はお互いにベストパートナーであると言えます。

外断熱に結露ができないヒミツ

さて、いよいよ外断熱に結露ができにくい理由を見てみましょう。

 

 

<図5>をご覧ください。
@冬の外気の冷たさが外装材に伝わり、外装材が冷えます。
A外装材に接している通気層の空気が冷えますが、分厚い断熱材に阻まれて冷気がコンクリートに伝わりません。

 

……ここまで読んでいただいた方なら、次のような疑問が沸くはずです。
「それなら外装材の裏側に結露ができるはずでは?」
通気層が室内の空気と同調しているにであれば、当然そうなります。しかし…、

 

B通気層は外気とつながっているために、通気層の中の空気と外気の間に温度差ができず、結露が抑えられます(空のグラスに結露ができないのと同じことです)。
  また、もし外装材の裏側に結露ができたとしても、断熱材であるグラスウールには撥水加工を施してあるので、中に染み入ることなく水滴は下に落ちていきます。

 

実は、この「通気層」が外断熱に結露ができない理由を探るキーポイントです。
せっかく断熱材をコンクリートの外側に張っても、この通気層がなければ外装材の裏側に結露が出来てしまい、断熱材の表面がびしょびしょになる可能性があります。
そうなると断熱効果の低下を招いたり、最悪の場合、外装材が剥がれ落ちることもあるようです。

 

※上記<図5>の実際の写真をかわら版「009」でご覧いただけます。

どこまでが内? どこまでが外?

いかがでしょうか。「結露」を視点とした内断熱と外断熱の違い。
この違いを言い換えれば、外断熱では「コンクリートまでが家の中」であり、それに対し内断熱では「コンクリートは家の外」ということになります。

 

 

蓄熱性や遮音性など、コンクリートには様々な特長があります。
せっかくのコンクリートです。やはり「家の外」にだすよりは「家の中」に置いておきたいですよね。

 

(2006/11/06 文責:佐野)