002 コンクリートなのに“木”?

002 コンクリートなのに“木”?

002 コンクリートなのに“木”?

前回では、「シェーンバウム」という名前が決まるまでの過程をお話しました。
その続きとなる今回は、その名前から導かれたマンションのコンセプトについて触れたいと思います。

 

「鉄筋コンクリートという、言わば“石”であるこのマンションに、“木“という意味の名前をつけていいのか?」
シェーンバウムという名前に決めた時、私が思ったことです。

 

特に日本には「木の家信仰」とでもいうべき、木の家に対する強い憧れがあり、「木の家」を売りにした一戸建ても多く見受けられます。
(個人的には、最近の合成板で作られた家が「木の家」と呼べるか疑問ではありますが)
鉄筋コンクリートのマンションに“木”という名前をつけるのには、私自身、やはり多少の抵抗がありました。
ですから、「鉄筋コンクリートのマンションで、どう“木”を表現するか」。
それがこのマンションのコンセプトになったのです。

 

まず、なんと言っても見た目です(笑)。
このマンションは、建築面積はそれほど広くないですが、9階建てという高さがあります。
そのスッと天に伸びていく建物そのものを、私は一本の巨大な木と考えることにしたのです。
外装もベージュを基調にして、なるべく木のイメージに近づけるようにデザインしようと思いました。

娘の大好きな「くまのプーさん」から

ここまできて、一つのイメージが私の頭に浮かびました。それは、娘が大好きな「くまのプーさん」です。

 

皆さんは、プーさんがどんな家に住んでいるかご存知でしょうか?
その答は、映画「くまのプーさん」の冒頭に出てきます。
プーさんは「Mr.サンダース」という表札の下で、木の幹にあいた穴の中に住んでいるのです。

 

シェーンバウムの1階にポッカリあくエントランスの穴。
その穴が、プーさんの家の入り口である穴とイメージがダブってきたのです。

 

木の家に住むのではなく、「木そのものの中に住む」という発想。
建物自体を木に見立てると、1階のエントランスは幹にあいた穴です。
そして、その入り口を通って、住人はそれぞれの部屋に帰っていきます。
地面に近い太い幹のところの部屋もあれば、見晴らしのいい高いところの部屋もあるでしょう。

 

「プーさんの家がマンションだったら…」
そんなイメージでこのマンションのコンセプトは固まりました。

 

もちろん、鉄筋コンクリートのマンションを自然の木と同じというつもりはありません。
しかし、「外断熱」という工法を得たシェーンバウムは、従来の石焼ビビンバマンションから、一歩「自然」に近づいたこともまた、間違いのない事実です。
(詳細は「外断熱のメリット」をご参照ください)

 

「一本の木」と考える以上、このマンションは生きてると思っています。
鉄筋コンクリートだから「作ったらそれでおしまい」ということではなく、木に水や肥料をあげるように、手間をかけ愛情をかけた分だけ、このマンションはより魅力的に育っていくはずです。
この「シェーンバウム」が、その名の通り「美しい木」になれるよう、これからじっくり育てていこうと思っています。

 

(2006/08/16 文責:佐野)